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前橋地方裁判所 昭和23年(行)9号 判決

主文

原告の請求は、これを棄却する。

訴訟費用は、原告の負担とする。

事実

原告は、「被告が昭和二十三年二月二十七日群馬縣新田郡世良田村大字女塚字道西乙四百三十三番宅地百五十坪につき爲した裁決は、これを取り消す。訴訟費用は被告の負担とする」との判決を求め、その請求の原因として、右土地は原告の所有に属し、農地とは離れた住宅地帶に存在する宅地である。然るに新田郡世良田村農地委員会は、右土地の賃借人であつてその上に家屋を所有し居住している訴外津久井林太郞の申請に基き、自作農創設特別措置法第十五條を適用して、右土地の買收計画を立てたので、原告は昭和二十三年一月十五日同委員会に異議を申立てたが、同月二十五日異議の申立を却下する旨の決定があつたので原告は、同年二月十日被告に対し右決定に対する訴願の申立をしたところ、被告は同月二十七日右申立は相立たない旨の裁決をした。しかし前記の如き状況にある宅地を買收することを認容する右裁決は、不当であるから、ここに原告は被告の爲した右裁決を取り消す旨の判決を求めるため、本訴に及んだ、と陳述した。(立証省略)

被告指定代理人は主文同旨の判決を求め答弁として原告主張事実中、被告の爲した裁決が不当であるとの点は否認し、その余の事実は認める。原告主張の宅地は訴外津久井林太郞が四十年前から賃借し、その地上に家屋を所有して、居住しているものであつて、同人は農業を営み、七反八畝の農地を耕作し、内五反一畝九歩の農地は、今次の農村收革によつて開放農地として政府から買い受け得るものである。よつて被告は、審議の結果、右宅地は自作農創設特別措置法第十五條所定の條件を完備しているものと認め、原告主張のような裁決をした次第であると述べた。(立証省略)

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